歯周病と口臭の関係

2018年10月16日 17:00

歯周病と口臭の関係

歯周病といえば、歯肉の腫れや出血にはじまり、重度になると歯槽骨が溶ける「骨吸収」や、さらに歯ぐきのラインが下がる「歯肉の退縮」といった症状があります。

その歯周病の症状の一つに「口臭」があります。ただし、「口臭があるから歯周病」というわけではなく、口臭の原因は様々な理由があります。

ここでは、歯周病と口臭の種類やその原因と、口臭の予防についてご説明したいと思います。

歯周病とは

歯肉や歯根膜、歯槽骨など、歯を支える「歯周組織」が破壊されてしまう病気が歯周病です。歯の表面や歯周ポケットに存在する歯垢の中にはたくさんの細菌が潜んでいます。

その細菌が出す酸や毒素によって、歯肉に炎症が起こる歯肉炎になり、そのあと歯を支える骨が溶けてしまう歯周炎(歯槽膿漏)に進行します。歯周炎といっても初期、中程度、重度とあり、進行状況によって治療内容も変わってきます。

歯周病の進行状況

歯周病の進行状況

口臭の種類

口臭が気になるという場合、原因には大きく分けて「病的口臭」「生理的口臭」「食品由来口臭」「仮性口臭」の4つがあります。

(1)病的口臭

主に歯周病やむし歯、口の中の潰瘍などによって発生する口臭です。病的口臭のうち、もっとも多いのが歯周病による口臭です。耳鼻科疾患(副鼻腔・蓄膿症・扁桃腺の炎症など)、呼吸器系疾患(気管支炎・肺化膿症など)、消化器系疾患(胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)や肝疾患、腎疾患、糖尿病などと関連して発生することもあります。

(2)生理的口臭

起床直後や空腹時、緊張したときなど、唾液の分泌が減少した際に発生し、これは誰にでも起こり得る口臭です。生理的口臭は加齢によって臭いが強くなることもあります。

(3)食品由来(外因的)口臭

臭いの強い食べ物(ニンニク・玉ねぎ・ネギなど)や、飲酒・喫煙によって発生する口臭です。時間の経過とともに弱まる一時的なもので、疾患ではありません。

(4)仮性口臭

本人が口臭を確信し意識しているが、思い込んでいるだけで実際には臭いがほとんどなく、本人だけが気になる心因性のものです。

歯周病と口臭の関係について

歯周病による口臭は、腐敗臭(卵の腐ったようなにおい、生臭いにおい)、血生臭いにおい、ドブのようなにおいがすることがほとんどです。発生する口臭の主な原因には、次の2つが挙げられます。

(1)歯周病菌が作り出す「悪臭物質」

歯周病の発症は、グラム陰性嫌気性菌を主体とした細菌の感染によって起こり、この「嫌気性菌」は、代謝によって硫化水素やメチルメルカプタンといった悪臭物質を作り出します。舌苔や歯垢(プラーク)の中にはこの嫌気性菌が多量に存在し、酸素も届きにくいので細菌にとってとても過ごしやすい環境が整っています。

(2)歯ぐきから出る「血液や膿」

歯周病になると、歯ぐきから血液や膿が出ます。細菌の代謝によって歯周病に特有の卵が腐ったような臭いが発生します。

このように、歯周病と口臭には密接な関係性があります。口臭は自分では気づきにくく、歯周病も痛みなく進行するという特徴があるため、気づいた時には重症になっていることも少なくありません。また、口臭は歯周病の進行とともに強くなる傾向があるといわれています。

歯周病と口臭を予防するために

歯周病と口臭を予防するために必要不可欠になるのが毎日の口腔ケアです。

  • 丁寧な歯磨き
  • フロスや歯間ブラシなどの補助清掃具の使用
  • 洗口剤の使用や詰め物・被せ物の隙間のケア
  • 入れ歯を清潔に保つ

など、日々の生活の中に予防のために改善できることは多くあります。

歯間ブラシ

 

しかし、そういった改善を行っても上手く治らない場合があります。

歯の形にしっかりと合っていない詰め物・被せ物の存在や歯列不正、歯肉の退縮、顎の骨の減少によってできた大きな隙間には清掃器具が届かないことがあります。

そういった場合には詰め物・被せ物のやりかえや矯正治療、歯周外科治療などの清掃しやすい環境づくりを行っていくことが望まれます。